ケアハウス主の園に越して

 私は2010年の7月、埼玉県川越市の郊外にある、キリスト教精神の老人ホ-ム「ケアハウス主の園」に入居しました。妻を天に送ってから4年経ってのことです。妻がくも膜下出血で倒れてから13年間ひとりの生活でしたが、子供たちや教会の皆さんに支えられたことを心から感謝しています。老後は老人ホ-ムへという歩みについては、生前の妻とも話し合ったこともあり、とりあえず子供たちの負担は最小限度にという結論を出しました。ケアハウス主の園には姉と兄が入っていたこともあり、兄が病気で退所してからも、姉がしきりに入所を勧めてくれました。

 ここは閑静な田園地帯で、たくさんの自然が残っています。心の落ち着く良い環境なのですが、交通は不便で、買物や医者通いなど外出には少々時間がかかります。然し、30歳の時から54年間伝道者の仕事のみを行ってきた私にとっては、キリスト教精神の施設がまたとない終の棲家でもあることをしみじみと味わう毎日を過ごしています。では、ここ主の園での恵まれた生活の一端をお伝えいたします。

 (1)親切な入居者

 私は部屋が空くまで暫く施設長用の空き部屋を使わせて頂くことになりました。広々としているためか、先輩の入居者の方々が次々と不要になった椅子、テ-ブル、机、タンスなどを用意してくださり、大いに助かりました。

 (2)毎朝の礼拝

 午前8時45分から30分ほどの礼拝が行われます。協力牧師30人ほどが担当して毎朝短い説教を語って下さるので、心がひきしまる時を持つことができます。

 (3)自炊生活からの解放

 妻が病に倒れてから13年間食事を作ってきた私にとって、三食が備えられ、食器洗いもして頂ける生活は、まさに有難いの一語につきます。

 (4)食卓の会話、部活動の仲間

 食事時のテ-ブルを囲む会話は楽しく、いつの間にか家族同様の雰囲気が出来上がり、同年輩のよしみで共通の話題に花が咲きます。また新入居者への細やかな気配りと声かけを心がけている先住者たちの姿に、クリスチャンとしての在り方を教えられます。また、部活動の仲間との交わりは、一段と親しみが増します。

 (5)引退牧師同士の交わり

 週3日、共同浴場で入浴できるのですが、男性用は狭く3、4人用の広さです。この入浴日に元牧師が顔をそろえるようになり、情報交換や共通の話題、教友たちの消息など親密な交わりが出来て、ひと時の楽しみな時間となっています。

 終わりに、最近キングスガ-デングル-プの評判が上がり、施設の数も増えてきましたが、いわば伝道の先端とも言えるこの福祉の働きが祝福され、良い結果が出ることを心より願っています。(2011年1月2日 依田名誉牧師)