信友の愛(旭川・緑ヶ丘便り12)

 

 聖書の中でダビデとヨナタンの信仰の友の愛が描かれている。また、この北海道にかかわりのある内村鑑三と宮部金吾の友情もよく知られている。確かに信仰者としてこの世で生きる時、信仰の友の愛によってどれほど励まされ、慰められ、支えられたことか数えきれない。

 

 今回、小生たちが旭川の緑が丘教会に着任するに当たっても信友の愛に感激することばかりだった。

 

 シカゴで日本人伝道を約35年続けている友人がある。神学校で共に学んで以来、50年近くの友人である。彼は学究肌で、いわゆる優秀である。その彼が名誉や地位に振り向きもせず経済的に困難な時にも、ただ主に頼り、シカゴの日本人の救いのために御言を語り続けている。何年かに一度帰国する時、小生が奉仕している地を訪ね励ましてくれる。毎年クリスマスには必ず我々の好きなチョコレートを贈ってくれる。今回、小生たちが旭川に赴任するに当たっては「細川さんの健康状態で旭川に行くことには反対である。絶対に行ってはならない」と何度となく電話やFAXで率直に言ってくれるのである。この率直さの中に信友の愛を覚え感激する。しかし彼の率直な愛を覚えながら、それには応えず旭川に着任した。するとまた、シカゴから就任式に際してFAXで何かと心掛けるべきことを書き送ってくれた。さらに今春遣わされて来る伝道師のことを覚え多額の献金を送ってくれたのである。信仰の友はありがたいものだ。

 

 もう一人、旭川着任に際し、信仰の友の愛を覚えさせられた信友がいる。彼も神学校以来の友人である。彼は星野富弘さんと大学が同じである。星野さんが大怪我をしたと聞き、早速東京から前橋まで見舞いに行った。星野さんは怪我でからだが火照るのに耐えながら「冷し中華が食べたい」と訴えた。まだその季節ではなくどこのラーメン屋にもなかった。しかし彼は駅前の店で事情を話し、冷やし中華を作ってもらった。それを病院の星野さんの所に届けたのである。星野さんは驚き「キリストさんはすげえ!」と彼の愛に感激したことが星野さんの本に記されている。その後、星野さん自身もキリスト者になり、周知の通り、詩画集は日本だけでなく各国語に訳され、何千万もの人々を慰め励まし、生きる希望を与えている。

 

 彼は、小生が石川で中咽頭癌になり、食べるのが苦痛だった時、群馬県の玉村から自ら打った蕎麦をもって夜行バス、ローカル線を乗り継ぎ、最寄駅から約4キロを歩いて朝食に間に合うようにとやって来て、朝7時半頃「宅急便」と玄関を叩いた。何という愛だろう。

 

 そして旭川着任に際しては、札幌近郊の北広島から電車を乗り継いで主日礼拝を共に捧げてくれたのである。神の家族として、兄弟として、信友として共に礼拝を捧げること程、うれしいことはない。また、礼拝後小生たちのアパートで昼を共にしながら家族や友人たちのことを分かち合ったのである。一日、信友の愛に満たされたのである。