フーテン僕使ウィーン便り③

 

③ウィーンの空

 

 

 

 とにかくウィーンの空が美しい。日の出前、牧師館の東と北の窓が茜色に染まっている。それが日の出と共に鮮やかに澄み切った青色に変化する。東からの光はウィーン大学病院の建物に反射して牧師館の窓まで届くのである。

 

 日中も空の色は変わらず澄み渡っている。特に窓際のベッドに仰向けに寝そべって見える空は格別である。向かい側の建物の屋根が渋いレンガ色をしているので、それと対照的に青さが際立つのだろう。その空に大きな雲が一つぽっかりと浮かび音もなくゆっくり流れるのである。

 

 4月下旬までいた旭川の空も美しかった。緯度が高いせいか同じ感じを受ける。しかし1年半いた全体的印象としては、冬の曇り空である。雪が降らない時に青空を期待していたが、それは外れた。大体にして冬はほとんど毎日雪が降った。大雪ではないが全く降らない日は稀であった。そのため夜も星はほとんど見えなかった。茨城の那珂湊では冬の間毎晩、満天の星であった。だから「○○流星群」が来た時はよく見えたものである。

 

 ウィーンの日中の空は青く澄み渡り、流れる雲も面白い。ただ夜に星を見られるかと言えば、今のところ残念ながら見ていない。それと言うのも、牧師館は路面電車通りに面しているためか、街灯が一晩中点いているからである。もう少し郊外に出て、ぶどう畑が一面に広がる所などからは、見えるかもしれない。ここの空とともに空気、風がおいしい。そのことは次回に。