フーテン僕使ウィーン便り⑨

 

⑨車の見本市

 

 

 

 ウィーンの道路は路上駐車でぎっしり詰まっている。道路の両側の所もあれば、片側の所もある。縦列駐車の所もあれば、斜めに並んでいる場合もある。駐車禁止区域ではなく法律に定められた範囲によるものだと思う。法則を知っているわけではない

 

 朝、牧師館と教会の周辺を散歩する時、この路上の車を見るのが楽しみである。小生は日本でも車の名前や会社名についてはほとんど知らなかった。また関心もなかった。それは、これまで乗る車は教会が用意してくれたものだったり、教会員の方から頂いたものだった。だから自分で選択して購入したことがなかったのである。ところが那珂湊教会に着任して初めて自分で乗る車を選ぶようになった。それでどのメーカーにどんな車があるかを調べ、購入には決断が要った。そんなわけで少しは車名を知るようになった。

 

 ウィーンの路上にある車に関心を持ったというよりは、持たされたと言う方が正確だと思う。路上の車は種々雑多であり、みな日本では高級車と言われる車が無造作に置かれているのだ。

 小生の知る範囲は狭い。先ずベンツ、BMW、ルノー、アウディ。これら各社には何種も異なったブランド車があるが小生には見分けがつかない。その他フォルクスワーゲン、フォード、FIAT、ボルボ、ヒュンダイ、日本のトヨタ、マツダ、日産、三菱など見かける。他にロシア車やイタリヤ車などもあるのだろうが、小生にはわからない。このように数十社の三桁に及ぶ車が並んでいるので、まさにウィーンの路上は「世界大のモーターショー」のように思われる。名前は分からずとも、見るだけで楽しい。車を見て「これは何車」と予想したりもする。初めて見る車種を見つけると澄代に自慢する。日本に帰るころにはいっぱしの「車通」になっているかもしれない。