フーテン僕使ウィーン便り⑬

 

新聞配達

 

 

 

 日本では毎朝、朝刊を各家庭に配達するのは当然のように思っている。また、朝の風物詩とも言える。旭川のような、冬はマイナス10度以下、145度は普通、さらに20度以下が稀ではない地でも、明け方新聞配達がなされている。しかも旭川は車道も歩道もスケートリンクのように凍っている。そのため配達は徒歩で、新聞を肩からのショルダーバッグに入れて行われていた。

 

 一方、那珂湊では夜中の24時位にバイクで各家庭に配っていた。このバイクの音はうるさく感じたが、慣れると時計代わりになった。東京等大都会は新聞社ごとに配達しているようだが、那珂湊等では地元紙の購読者が圧倒的に多いため、全国紙は各社ひとまとめにしているところが多かった。旭川でも同じ状況で、地元紙に全国紙が束になってかかってもかなわないようであった。だからある全国紙は配達ではなく郵送をしているようであった。

 

 とにかく、日本では朝刊の各家庭配達は普通である。ここウィーンでも朝刊の配達が行われている。どのような新聞が毎朝配達されているのか詳細には知らないが、自転車の後ろの荷台に新聞を入れて配達しているのをよく見かける。時には二人で配達している。それは多分配達人が変わる時で、先輩が後任に道順などを教えているのだろう。

 

 小生に不思議なのは、どのようにして各家庭の戸口まで入るのかということである。どこのアパートも各戸のドアまで二重にも三重にも鍵をかけている。因みに、牧師館のあるアパートは1階がテコンドーの道場で、20世帯入る5階建て(こちらでは4階)である。もし各アパートの鍵を持っているなら、何十個、と言えないくらいの鍵が必要だろう。しかしそんなにたくさん持っているようには見えない。もしかしたら、すべての鍵を開けることのできる魔法の鍵を持っているのか。同じヨーロッパでもパリやブリュッセルでは朝刊の各戸配達は見なかった。近くの国であってもそれぞれの伝統、文化は違うことを実感する。

 

 それにしても、すべての問題を解く鍵、イエス・キリストが与えられていることを思い出させられる「鍵の謎」である。