フーテン僕使ウィーン便り⑭

 

⑭ウィーン天文台

 

 

 

 ウィーンの観光案内書、三冊を見ても「ウィーン天文台」についての記述がなかった。だからウィーンに天文台があるとは思わなかった。

 

 ところが牧師館から数百メートル西に行くとLacknergasseがあり、そこを北に曲がると真正面に大きなドームが見えるのである。どう見ても望遠鏡のドームに見える。それで地図で確認すると、確かに「天文台」と書かれている所と一致する。それで、そのことを確認しようとラックナー通りの坂をドーム目指して下りて行った。坂を下り切ったあたりからはドームは見えなくなった。少し不安だったがそこから急な登り坂になっていて、ゆっくりと登って行ってもドームは見えて来ない。やがて赤いレンガ作りの塀にぶつかった。その塀に添って行っても見えない。確かに地図を見る限り、この塀の中あたりにあるはずだと思うが、高い樹木が見えるだけだ。長方形の土地の三辺を歩いたがドームは見えない。一角に石造りの門がありその脇に「ウィーン大学宇宙(天文)学研究所」の掲示があった。この敷地はウィーン大学の宇宙研究所であることがわかった。門は開いているが入っていいのか悪いのか分からず、ためらわれ、その時は入らなかった。

 

 しかしドームの存在を確認出来ず中途半端で心残りであった。次の日再び門の所まで行き、意を決して恐る恐る入って行った。中は鬱蒼とした森であり、そこに砂利道が続いていたのでそれに添って進んだ。23百メートルも進んだところに赤レンガ造りの綺麗な建物が現れた。そしてその上に一つと思っていたドームが二つあるのを見た。確かにロッケネル通りから見えたドームはここにあったのだ。この天文台がいつできたのかは知らないが創設当時、このあたりは殆ど住宅のない深い山の頂だったのだろう。それが住宅地が広がりその奥になったのだろう。東京天文台が都下三鷹市深大寺近くにあるが、やはり最初は全く人の住まないまっ暗闇の中だったのが、今は住宅地の真ん中になったのと同じかもしれない。

 

 今から約35年前長男長女が小学生低学年のころ、札幌に住んでいた。札幌天文台で「春の星座観測会」があると言うので二人を連れて行った。その日参加者は我々だけで大歓迎してくれ、特別に色々説明してくれた。しかも、北海道新聞の記者が取材に来ており、その時の様子が次の日の朝刊に大きな写真つきで載った。また数日後にその写真が送られて来た。

 

天文台ではそんなことを思い出した。ウィーン天文台にも多くの子供や親が来て神の創造のすばらしさに触れて欲しいと願っている。天文台には人知を超えた愛があるように思う。

 

左上:路面電車。結構なスピードです。その後ろのアパートに牧師館、上から2階目のちょうど角。

右上:ウィーンは電柱がなく、信号、街灯は建物からつるされている。

左下:ロックナー通りから見えるドーム。

右下:やっと見つけた天文台ドーム。

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コメント: 2
  • #1

    吉田由佳子 (月曜日, 02 7月 2018 08:09)

    細川先生、澄代さん
    ご夫妻のお働きのために、ご健康が支えられますように
    お祈りしております。
    8月19日にウィーンの日本語教会にお邪魔させていただきます。先生ご夫妻とすれ違いのようで残念ですが、9月には浜田山でお会いできることを楽しみにしております。
    在住

  • #2

    椿野僚子 (月曜日, 02 7月 2018 15:27)

    細川先生、奥様、遠いところへ奉仕されて、このようにたくさんの報告を聞かせてくださり、感謝します。
    立派な綺麗なかっこいい天文台ですね。
    日本の天文台行ったことないので、いつかは行ってみたいと思っています。

    先生ご夫婦の働きと健康が守られるようにお祈りしております。