フーテン僕使ウィーン便り⑲

 

⑲グラーツ集会

 

 

 

 ウィーン教会のメンバー夫婦がグラーツに住んでいるので、是非一度訪ねたいと考えていた。この夫婦には2年前ドイツで行われた「ヨーロッパキリスト者の集い」で一度食事を共にしたので覚えていたからである。グラーツはウィーンからほぼ南に約200㎞の所にある。14世紀にはハプスブルク家の都となった街である。音楽や大学(創立1585)など文化の花が開き世界文化遺産となっているエッゲンベルク城がある。

 

 とにかく約200㎞もあるので、体調とも相談しなければならず思案していた。突然訪ねる悪い趣味を楽しまなければならないのだ。ところが急に611日に行くことになった。それは、先の夫婦が世話役をしている「グラーツ集会」がその日に行われることになったからである。当初、13日の予定で小生たちに来て欲しいと連絡があった。ところがその日は午後に牧師館で「信仰の基礎の学び」の予定になっている。バスでも列車でも2時間半かかり、牧師館から合わせると3時間半はかかる。グラーツの午前の集会を終えてとんぼ返りしても、牧師館での学び会には間に合わない。それでグラーツでの出席者と相談し11日となったのである。

 

 10日の主日礼拝とお茶の交わりから午後5時頃帰り、翌日早朝起きてグラーツまで出かけるのは厳しい。しかし、グラーツで調整したこの時は、主の時と信じて行く外はない。11()4時半に起き、主の憐れみを祈り求めて5時半に出かけた。6時半、ウィーン西駅発、グラーツ行きの高速バスに乗る。バスは2階建てで座席はゆったりしていた。ウィーンの町を過ぎると、広々とした麦畑や野菜畑が現れた。1時間程経って山道となり、かなり高いところを通ったように思う。緑が美しく、時々眼下に小さな村が見えた。それは赤茶色の瓦屋根に白い壁で、辺りの緑の中によく映えていた。それに見とれているとあっという間にグラーツに着いた。非常に快適なバスだった。

 

 オペラ座の前にバスが着き、今里さんが待って下さっていた。彼女はヴァイオリニストで10年間オペラ座楽団のコンサートマスターだと言う。会場の平木さん宅に歩いて15分ほどで着いた。始まりは10時からなので、お茶を飲みながら自己紹介をし合った。参加者は、平木夫妻、今里さん、山岡さん、中山さんで、そこに小生夫婦が加わった。いつも12時過ぎまでなると聞いていたのでゆっくり聞いていると、1050分になった。その自己紹介で皆笑い転げるほど愉快な愛の交わりだった。

 

実際の聖書の学びは11時近くから始まった。予定した質問にみなが自由に発言した。それで予定通りには進まなかったが楽しい学びの時になった。主がこれを用いて、一人一人を導いて下さったことに感謝した。

 

昼食は持ち寄りの、ちらし寿司、肉団子、サラダなどのご馳走が腹を満たし、霊も満ちあふれ、豊かな交わりだった。あっという間に時間がたち、3時のバスに乗り、545分ウィーン西駅に着いた。やはり疲れ切ったが、主がグラーツ集会を祝して下さったと信じ感謝した。その夜は思いっきりケーキとアイスクリームを食べて休んだ。