キリストのモデル、ヨセフ

37:1 ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。
2 ヤコブの子孫は次のとおりである。ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。 (創世記37:1~)

 

 ヨセフは110年にわたる波乱万丈の生涯を送りましたが、彼の人生で重要な点は、神様から目をそらしたことが一度もなかった、ということです。創世記の中でヨセフについては、アブラハムと同じ14章がさかれ、何も悪いことが記録されていません。一方、新約聖書では、アブラハムやモーセほど言及されていません(ヨハネ45、使徒7914、ヘブル112122、黙示78)し、イエス様もヨセフについて言及しておられません。そこで私たちはヨセフの生涯について、聖書自体の記録から直接学ぶ必要があります。

 

 さて彼の生涯を考えると、ヨセフはイエス・キリストのモデルだと言えます。彼の父祖アブラハムは、独り子をささげた父なる神様のイメージがあり、その子イサクは、父の命令に素直に従った御子の服従の姿に重なります。そしてヨセフとイエス様には、多くの共通点があります。

 

 また、ヨセフは私たちクリスチャンのモデルでもあります。創世記では8人の人物が信仰者の生き方を示しています。アダムは、まだ明らかになっていないメシアの到来の約束を信じ(創315)、アベルは兄弟カインよりすぐれた捧げ物を捧げ(ヘブル114)、エノクは信仰によって歩むことを教え(創52124)、ノアは箱舟建設を120年間も続け、信仰の忍耐を教えました(創68)。また、アブラハムは子どもを犠牲にするほど神様に服従し、その子イサクは自分の欲を離れ、神様の御心を受け入れました(創22)。ヤコブは信仰の訓練を受け、最後には、ヤボクの渡しで自らを神様に明け渡しました(創32)。8人目のヨセフは、奴隷から権力者の地位まで登りつめた人です。これは信仰の勝利を意味します。ヨセフの優れたところは、彼がどのような状況でも神様に全く忠実であったということです。エジプトに行ったから、エジプトに従うという生き方を選びませんでした。自分の身に何が起きようとも、自分の責任は神に忠実に生きることだと考え、それを実行したのです。彼の人生は山あり谷ありでしたが、その間決して不平を漏らさず、妥協もしませんでした。その結果、ヨセフは神様の前に力を失うことはありませんでした。神は夢によって彼に未来を啓示し、導いてくださいました。これは、彼の人生で神が常に主であり、中心的な決定者であるということです。そしてダビデも、同じような信仰の持主でした(Ⅰサム173447)。

 

 このようにヨセフの模範によって、私たちは以下のようになることができます。敵に立ち向かい、勝利をおさめる、性的な誘惑に抵抗し、将来を計画し、私たちに過ちを犯した者をゆるし、ゆるしのための疑いを払しょくし、神の約束を信じ、そして過ちを犯した者たちに対して神の主権を認める、ということです。私たちは敵をゆるすことがなかなかできません。しかし彼は、神様を信じたが故に、害を加えた者をゆるすことができました。彼は多くの困難な状況の中で、有り余るほどの勝利をおさめることができたのです。つまり彼は、イエス。キリストに次ぐ敬虔な歩みの、すぐれたモデルであると言うことができます。

 

 もう一つ、私たちが認めるべきことは、彼が人生の中で神の摂理の御手を信じ続けたということです。小さな出来事の連鎖反応の中で、神はヨセフをエジプトの宰相の地位にまで高く引き上げられ、そしてその後7年の飢饉の中で、多くの民を飢えから救われました。これらの状況は小さなことのように見えて、兄弟たちの憎しみ、夢を通しての怒りを取り去りました。私たちが人生を振り返ると、何が見えるでしょうか。自分に害を与えた者の憎しみ、去っていった友、苦々しさでいっぱいの人生….。しかしヨセフは違いました。そこにも神の主権、愛の御手があった、だから過去のすべての苦々しい経験を忘れることができたのです

 

「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています」(ロマ828)。

 

ご在天の父なる神様、私たちの人生には、とても辛い時を歩まねばならないことがあります。その時、不信仰に陥らないで、常に神様に目を注いで、神様はいつも最善をなして下さることを信じ耐え忍び、そして過去の辛い経験を忘れ、復活のいのちに与る者とならしめて下さい。どうぞ試練の内にある、或いは病の内にある兄弟姉妹お一人お一人を憐れんで下さって、神様がその魂を引き上げて下さいますように、心からお願い申し上げます。

 

2018729日礼拝 八郷キリスト教会山口勝政牧師)

 

☆本日の礼拝は講壇交換で、八郷キリスト教会の山口勝政牧師がメッセージを取り次いで下さいました。また礼拝後、愛餐会と総員祈祷会を行いました。