フーテン僕使ウィーン便り㉕

 

25 モーア・イム・ヘムト

 

 

 

 これはウィーンで人気のスイーツの名前である。意味は「ワイシャツを着たムーア人」とのこと。ホットチョコレートケーキとクリーム、バニラアイスにたっぷりの熱いチョコレートソースがかけられ、そこにイチゴや色とりどりのベリー類が添えられているのである。

 

 小生は牧師館にあった観光案内でこれを見つけ、是非食べてみたいと思った。次女が来た時小生たち夫婦と三人で「デーメル」というウィーンで一番ケーキの種類が多いと言われ「ザッハートルテ」でも有名な老舗カフェに行った。小生は勿論「モーア・イム・ヘムト」を注文。飲み物は「アイスチョコレート」である。澄代は「トプフェントルテ」と「デーメルメゾンカフェ」。次女は「アンナトルテ」と「ホットチョコレート」であった。親子そろって天邪鬼な三人は誰も「ザッハートルテ」を注文しなかった。小生たちはいつものように、3種類のケーキを少しずつ味見し合った。それぞれ美味しかったので満足だった。小生は特に、これにこだわっていたのでウェイターが持って来た時、一目で大満足した。注文の品が来た時、思ったより見た目が綺麗でなかったり、小さかったりでがっかりすることがある。かつてパリの有名な「アンジェリーナ」で名物の大きくて甘い「モンブラン」と「ホットチョコレート」が小さくがっかりしたことがあった。しかし今回は最初から満足であった。実際に口にした時、チョコレートソースも熱く、ケーキもとろけるように口の中で広がった。日本では「甘さ控えめ」が好まれるが、小生にとって、それはケーキの風上にも置けないことだと憤っている。デーメルの「モーア・イム・ヘムト」は正当的なケーキの甘さを維持している。これこそホットチョコレートケーキ(フランス流にはフォンダンショコラ)である。飲み物の「アイスチョコレート」も甘く大満足であった。次女も注文したケーキに大満足した様子であった。残念ながら澄代だけはトプフェントルテ(チーズケーキ)には美味しいと言いながら、少々不満があったようだ。あまり特徴がなく違いが感じられなかったらしい。しかし、飲み物にはとても喜んでいた。普段コーヒーを飲まないのだが、折角ウィーンだからと言うのと、ちょうど隣席の人の注文したのを見てそれに決めたのであった。こうして三人三様であったが、カフェで楽しんだ昼下がりであった。

 

 那珂湊では「リスボン」や「きくち」「FLO」を楽しんだのを思い出す。帰ってからも楽しもう。