ひざをかがめて祈る　エペソ人への手紙3章14～21節

　パウロは、エペソの教会の人々のために膝をかがめて真剣に祈りました。彼の関心は、エペソのクリスチャンたちがどうあるべきか、イエス様を信じる信仰者としてどう生きるべきかということでした。そこでクリスチャンのあり方について、三つのことを語り、祈りました。

　第一は、内なる人が強められるように、ということです（16）。どんなに長いクリスチャン生活を送っていても、弱さはあるものです。ではどうしたら、内なる人が強くされるのでしょうか。それは、神様が送って下さった御霊の働きによります。私は暫く前、「死ぬまで歩くにはスクワットだけすればよい」という本を買いました。それによると、スクワットは筋力低下、血流悪化、自律神経の乱れを改善、ほぼ全身の筋肉を鍛え、認知症予防などの効能があるそうです。とにかく、目に見えない筋肉の隅々が強くされて、体調が良くなると言うのです。私はいつか変えられていくと信じて、スクワットを続けています。内なる人もすぐに変わるわけではない、でも弱さを感じた時、すでに私たちの心の内に宿っておられる聖霊ご自身に、助けを求め祈り続ける、それが私たちの日課であるべきだと思います。

　パウロは17節の「キリストが…あなたがたの心のうちに住んでいてくださいますように」他に、「神の御霊があなたがたのうちに住んでおられる」（ロマ8：11）という表現をしています。また、イエス様は「だれでもわたしを愛する人は、わたしのことばを守ります。そうすれば、わたしの父はその人を愛し、わたしたちはその人のところに来て、その人とともに住みます」と言われました（ヨハネ14：23）。つまり、三位一体の神様が私たちの心に住んでいて下さり、私たちの内なる人を強くして下さるのです。

　第二は、イエス様の愛を知ってほしいということです（17後半～19）。たとえ私たちがイエス様の愛を知っていたとしても、それは本当にわずかなものにすぎません。イエス様の愛を知れば知るほど、私たちはイエス様をいっそう深く信頼し、愛する者になるのではないでしょうか。そして、人知をはるかに越えたイエス様の愛を知るなら、周りの人に対する愛も溢れていくはずではないでしょうか。相手を大切にし、その人格を尊び、共に生きようとする人間に変えられていくのではないでしょうか。つい最近、高校3年生の男の子が自死したという記事を読みました。彼はバレー部の中心として活躍していたのですが、試合が終わったその日に命を絶ったのです。残されたメモには、ミスをしたら自分が一番叱られる、顧問の先生からお前は必要ない、使えないと言われたと記されていたそうです。このように人格が否定されたら、本当に辛いです。私たちは人間関係の中で、イエス様の愛を必要としています。ある人は、愛とは相手に変わることを要求しない、相手をありのままに受け入れることだ、と言いました。これは簡単なことではありません。でも、私たちにはイエス様がおられます。私たちをまるごと愛して下さっているお方がおられる、その喜びがあって、初めて人を愛する愛が生まれてくるのだと思います。

　第三は、神の満ち溢れる豊かさにまで満たされるように、ということです（19後半～21）。「神の満ち溢れる豊かさ」と言うと、漠然としているようですが、イエス様を見て下さい。そこに神の満ち満ちたご性質が具体的に宿っている、とパウロは言っています（コロサイ2：9）。別な言い方をするなら、「神の満ち溢れる豊かさにまで満たされるように」とは、私たちがイエス様の似姿に変えられていくことであり、パウロはこのことを祈っているのだと思います（Ⅱコリ3：18）。

　祈りの課題はたくさんあると思います。でも、私たちが何よりも祈るべき課題は、エペソ3：20～21ではないでしょうか。一人一人のうちに住んでいて下さる聖霊によって内なる人が強められ、イエス様の驚くべき愛を経験し、さらにイエス様に似る者へと変えられていくように祈っていきたい、そしてそのことを通して、神様の栄光を現す者とさせていただきたいと願います。

　父なる神様、私たちの内なる人を、あなたはご存知です。そこに三位一体の神様が住んで下さっています。そして私たちを強くし、イエス様の似姿に変えようとして働いて下さっています。ありがとうございます。弱い私たちです。イエス様の愛が少ししかわかっていない小さな者です。でもこのような者を愛して、強くして、変えて下さるあなたを心から感謝し、あなたに信頼し、日々歩んでまいりたいと願います。どうぞ、あなたが共にいて導いて下さい。（2018年10月14日礼拝　岩井キリスト教会国内宣教師　稲垣博史師）

☆武田牧師は、信徒交流委員会の活動により、みなみ野キリスト教会で奉仕にあたりました。