聖霊に満ちた心とは　使徒の働き8章9～25節

　今日は①神様を知ったサマリヤ人（9～13）、②聖霊を受けたサマリヤ人（14～17）、③神を拒んだサマリヤ人（18～24）に分けてお話をします。

　サマリヤにはシモンという人がいました。彼は人々の前で魔術（マジック）を行い、こんなことが行えるのは自分だけだ、自分は偉大な人間だと人々に話していました。そして町中の人がシモンを見て、この人は神の力を持っていると言っていました。彼らと私たち日本人には、共通点があります。例えば、スポーツ選手の人間離れした技を見ると「〇〇の神」と言ったり、若者言葉であれば「神ってる」と言ったりします。もちろん本当に神様だとは思っていないでしょうが、日本人が神様か否かを判断する基準は、非常に表面的だと思います。先週、私はある新興宗教の信者さんと話をしました。その人の入信の動機を聞いたら、その宗教は家族を大事にしているからだと言われました。では、その宗教の神様はどんな神様なのか聞いたら、あまりわからないとのことでした。私たちが神様を信じる時には、その神様が一体どんな方なのか、知る必要があるのではないでしょうか。ピリポは、サマリヤ人に神様はどんな方かということを知らせるよう心掛けていました（12）。つまり、神様の力によって奇蹟を行うことができましたが、あくまで「神の国とイエス・キリストの御名」を宣べ伝え続けたのです。「イエス・キリストの御名」とは、「イエス・キリストのすべて」と言い換えてもよいでしょう。ピリポはサマリヤの人々に、奇蹟によって表面的に神様のすごさを知らせるより、言葉を通してイエス様がどんな方なのかを知ってほしかったのです。私たちは日々聖書を通して、祈りを通して、神様はどんな方なのかを知る、これが大切ではないかと思います。

　さて、聖霊とは私たちが神様を信じた瞬間に、私たちの内に住んで下さる神様のことです。これは教会が長い間、信じてきた教えなのですが、今日の箇所を読むと、サマリヤ人たちは信じても、すぐに聖霊が与えられなかったようです（12,16～17）。これについては様々な意見があります。限界のある人間が神様を知るのは、一筋縄ではいかないことを思わされます。一つの意見をあげるなら。これ（サマリヤ人が真の神様を信じたこと）が教会にとって歴史的な出来事であり、エルサレムからペテロとヨハネを呼んで、一大イベントとして聖霊を下された、ということかもしれません。サマリヤ人に聖霊を送るのを遅らせたことにも神様の深い配慮があり、私たちが完全に知ることは難しいと思います。ただ私たちは、神様はいつも最も良いタイミングで事を行われるということを覚えておかなければなりません。

　最後に、神を拒んだサマリヤ人とは、冒頭で紹介したシモンのことです。彼はシモンの語る言葉より、しるしとすばらしい奇蹟に心が向いていました（13、18～19）。当時、癒しや奇蹟は自分ではなく、神様の偉大さを明らかにするために行われていました。しかしシモンは、それを自分の偉大さを示すために使いたいと思っていたのです。ピリポはシモンを叱責しましたが、シモンは問題は自分の心の外にあると考えていました。私たちは御言葉の戸を開いた時に、自分の心の内側を知ります。そして高慢は謙遜に変えられていきます（詩119：130）。私たちは何もしないで、ただ奇蹟だけを待つのではなく、神様を、また自分自身の内側を知りたい、そういう前向きな思いで御言葉を読んでいきたいと思います。

　天の父なる神様、御言葉をありがとうございます。私たちが心砕かれた状態で真摯に御言葉を聞く時、私たちは神様の偉大さを知ることができます。そしてこんなにも大きな神様が私の神なのだと力づけられ、励まされます。しかし同時に、御言葉の戸を開くと共に、自分の弱さを知ることにもなります。しかしその弱い者でも、神様は守って共に歩んで下さる、その喜びに満ちて人生を歩むことができます。私たちの信仰生活の喜びは、御言葉の戸を開くことから始まります。どうぞ私たちの心を打ち砕いて、私たちが御言葉を読み、蓄えることができるようにして下さい。（2018年11月11日礼拝　武田遣嗣牧師）　

昨日は教会で結婚式が行われ、本日、お茶の時間にお二人のお祝い会をしました。