健康な心を持つ秘訣とは何か? マタイの福音書5章3節、ヨハネの福音書3章16節

マタ5:3 「心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たちのものだからです。

ヨハ3:16 神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。

 

 心とは、ある意味で人生の舵を取り、目には見えませんがとても大切なものです。

 

私は日々カウンセリングの働きをする中で、心の病に至らなくても、様々な問題を抱えて、ストレスを必要以上に感じてしまう方々と向き合っています。心の健康度が低下していると、小さな問題も大きく感じ、問題が雪だるま式に大きくなるものです。

 

 では、健康でない心とは、どのような特徴があるでしょうか。第一に、それは受け身的です。ヤコブの手紙は、迫害の中にあるクリスチャンに宛てられた書簡ですが、589には健康な心の基本が書かれています。その特徴は、「耐え忍ぶ(忍耐)、心を強くする」ということです。多くの人は聖書の忍耐と、私たち日本人が得意な我慢とを一緒にしています。しかし忍耐は健康な心、我慢は受け身的な心なのです。我慢は、じっと何もしないで困難が通り過ぎるのを待っているのに対し、忍耐は、自ら困難に向き合って、それを乗り越えようとします。そして「心を強くする」とは、困難を乗り越えるのだとしっかり心に決めることです。つまり、耐え忍ぶこと、心を強くすることには、意志が働いています。

 

しかし、意志をもって向き合うことは、誰かに頼らないということではありません。神様はもちろん、色々な方々の助けも必要でしょう。

 

 さて、心の働きとは一言で言うなら、物事を解釈することです。そして私たちが今いる現実をどう解釈するかが、その人にとっての現実であり、往々にして事実とは異なるものです。例えば3月は人事異動の時期ですが、自分は左遷されるのではないか、昇進するのではないか、或いは全く別の部署に異動になるのではないかなどと解釈し、悪く解釈する人は仕事に身が入らないかもしれません。解釈は日々無数に、無意識に行われ、ある意味でその人の人生を大きく左右します。そして私たちの心は習慣化しています。30年の人は30年の、60年の人は60年の心の習慣(傾向)があります。そのような意識がない中、私たちは心で考え解釈し、判断して行動しているのです。パウロは心を新たにすることで、自分を変えるように勧めています(ロマ122)。日々心を新たにしていないと、古い自分の傾向に流されてしまうのです。このように、心とは人生の舵取りをする中心であり、どのような舵取りをするかは、その人の心次第なのです。もし私たちの心が健康的でない、受け身的な心なら、その解釈によって悩みが逆に深くなり、ストレスがストレスを呼んで毎日を過ごさなければならないでしょう。

 

 「受け身的」には、切羽詰まってから仕方なく考えたり、判断したり、行動したりする特徴があります。最近、家事を手伝う夫が増えてきました。しかし、それにイライラしている妻が多いそうです。妻が食事をつくり、夫が皿洗いをするのはいいのですが、夫がなかなかやってくれないからです。私は夫たちに、それは効果がないやり方だと言います。妻たちに感謝される方法は、食後すぐに台所をきれいにする(能動的)ことです。受け身的だと、どうしても問題が大きくなり、複雑化します。ぎりぎりでやると、一生懸命やっても、問題が色々なところに飛び火しているので、尻ぬぐいに終わってしまう、積極的により良いことをしていくより、後始末にエネルギーを使うという人生になってしまうでしょう。これは勿体ないことだと思います。

 

 健康的(能動的)な心は、自分が犯したミスや失敗から学習し、どこが問題かを省み、次の判断、行動に生かすことが可能です。さらに健康的な心とは、スピリチュアルな心(マタイ53)です。私たちがイエス・キリストを通して神の愛を体験する時、御霊の実としてアガペーの愛が私たちの内に実を結んでいき、私たちの心の判断の動機づけになります。そして神の御心にかなった意志をもって神を愛し、隣人を愛しながら日々を能動的に歩んでいくことができます。

 

 天の神様、健康な心をどのようにして持つことができるかについて、共に聖書を通して学ぶことができまして感謝します。この社会は絶えず変化をし、私たちは予測のできない社会の中に生かされています。その中で私たちは、変わることのない意志をもって私たちを愛し支えて下さる神様に心のベースを置き、心を日々新たにしながら自らが変えられ、成長していく時、たとえ迫害や様々な艱難があったとしても、共に愛、喜び、平安を持って、人生を歩むことができる幸いを覚えることができて感謝をします。どうぞ一人一人にスピリチュアルな心を与え、喜び、平安の実を結ぶことができますように。(2019310日礼拝 丸屋真也牧師)

 

☆愛餐会のあと、丸屋先生による講演会(「健全な人間関係を築く鍵」)も行われました。