依田次雄牧師のこと

 

 那珂湊教会はドイツ人宣教師G・ベック師と日本人牧師依田次雄師によって始められた。ベック師は約10年間当教会で奉仕した後リーベンツェラ宣教団を退団し、都下武蔵野市で開拓伝道に従事された。しかし、依田氏はベック師が去った後も那珂湊教会で2013年まで奉仕された。実に50年に及ぶ働きであった。小生が当教会に招聘されたのは2008年であった。当初は、依田氏が主任牧師で小生は副牧師という立場であった。しかし実質は小生が主任牧師で依田師が副牧師のように、依田牧師は謙遜に小生を自由にさせて下さった。小生は依田牧師と以前から個人的に交わり、尊敬していた。それは、牧師も人間であり、どうしても栄誉や指導的立場を求めやすい。しかし依田氏は、那珂湊教会の牧師に徹し、その他の誘惑には目もくれない稀な牧師だったからである。依田牧師のその姿勢は小生との共同牧会においても貫き通された。貫き通したというより、依田師は全く自然に謙遜であった。小生より18歳も年長で経験的にも能力的にも比較にならないにも拘らず、全くそれを思わせぬように接して下さった。現在の那珂湊教会があるのはこの依田師の生き方があってのことであると思う。

 

                    2019.5.23