第93回童謡・唱歌・讃美歌を歌う会

「あめふり」、「かたつむり」、「グリーングリーン」、「上を向いて歩こう」、「いつも私を支え(福音讃美歌418番)、「故郷」を歌いました。参加者は9名でした。

 

ミレーの絵から

 今日は、ミレーが描いた「落穂ひろい」という絵についてお話しします。

 

ミレーは、フランス北西部の田舎町に生まれ、農民画家と呼ばれています。「落穂ひろい」のような、田園風景をテーマにした絵を多く残したからです。ミレーの家は農家で、幼少期から自然の中で生きる厳しさを学んでいました。ですから、彼の絵には田園風景の温かさと同時に、働くことや生きることの厳しさが表現されています。

 

 さて「落穂ひろい」には、3人の女性が描かれています。彼女たちは大変貧しく、収穫後の麦畑で畑の持ち主が落としていった麦を拾っています。少し見えにくいですが、彼女たちから遠く離れた場所に、大収穫した収穫物と人が描かれています。この距離感は、この3人の女性たちが差別と偏見を持たれていたことを表しているのだそうです。

 

 また、この絵は聖書の話をもとにしています。この麦畑のある町はベツレヘム、一番右にいる女性はルツといいます。ルツは外国人で、外国で結婚をしたのですが夫と死別したので、姑に母親の家に帰るよう勧められました。しかしルツは、次のように答えました。

 

【新改訳2017

 

ルツ

 

お母様を捨て、別れて帰るように、仕向けないでください。お母様が行かれるところに私も行き、住まれるところに私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。

 

1:17 あなたが死なれるところで私も死に、そこに葬られます。もし、死によってでも、私があなたから離れるようなことがあったら、【主】が幾重にも私を罰してくださるように。」

 

このようにルツは大変優しい女性でしたが、ベツレヘムでは厳しい現実に直面しました。外国人であるために偏見を持たれたし、左側の女性たち(おそらく地元の住民)と違って落穂ひろいに慣れていませんでした。

 

 しかしミレーは、この絵の続きも描いています。「刈入れ人たちの休息」という絵です。この絵の左端にいるのがルツ、その隣にいる男性がボアズという人です。人々はルツに対してややよそよそしい感じに見えますが、ボアズは両手を広げてルツを歓迎し、皆に紹介しています。ボアズは彼女に差別や偏見の目を向けることなくルツを愛し、二人は結婚しました。そして彼らの時代から数百年後、ベツレヘムでイエス・キリストが生まれました。イエス様は神様であったのに、人を罪から救うために人の子として生まれました。しかも驚くことに、イエス様はこのルツとボアズの子孫として生まれたのです。

 

イザヤ

 

43:4 わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。

 

私たちは人の目を恐れがちですが、ボアズがルツを愛したように、私たちの神様も偏見なしに私たちを愛して下さっています。

 

 天の父なる神様、ここにいる一人一人に、豊かな祝福がありますように。(2019618日 武田遣嗣牧師)