「ハンガーゼロ」の理念について

一般的に「飢餓」とは、長期間にわたり十分に食べられず、栄養不足となり、生存と社会的な生活が困難になっている状況のことです。このような状況にいる人(飢餓人口)は世界全体で82100万人いると言われ、また栄養失調や色々な理由で亡くなる人は、45秒に一人だと言われています。

 

 食べ物が足りないのでしょうか。国連食糧農業機関によると、地球上には73億人の人がいて、25億トン穀物が生産されているそうです。これを一人当たりに同じように分配すると、人は年間340キログラム食べられます。でも、人が一年間生活するのに必要十分な量はこれの約半分です。つまり、地球には一人一人に十分な食糧はあるのです。

 

 さて、日本で一年に消費される食べ物は8464万トンですが、このうち廃棄される量は2800万トンと言われています。さらにこの2800万トンのうち、642万トンがまだ食べられるのに捨てられているそうです。ただし、食べることができない国々に国連機関が支給している量は340万トンです。国連が用意した約2倍の量を、日本一国だけで捨てているということです。法律や賞味期限等、難しい問題がありますが、このような事実があります。

 

 日本が悪いと言うのではありません。実は、日本にも貧困が存在しています。年間で122万円未満の可処分所得しかない人々を、相対的貧困層と言っていますが、日本全体では15.6%を占めています(2015年)。ひとり親世帯では、貧困率は50.8%にも上ります。飢餓や貧困は決して遠い国の話ではなく、私たちも足元を見れば、いろいろな状況のご家庭があることがわかります。

 

 少し話が変わりますが、警察庁によると、平成30年の日本の自死者総数は20598人(男性14125人、女性は6473人)でした。東京では2000人以上、茨城県では462人の方が自ら命を絶っておられます。

 

 ここで、「ハンガーゼロ(日本飢餓対策機構)」の働きを説明したいと思います。私たちは飢餓問題の解決のために、18ヵ国60以上の協力団体と共に、アジア、アフリカ、中南米の開発途上国で働いています。現地パートナーや現地キリスト教会と協力し合い、自立開発協力、教育支援、緊急援助、人材派遣などの活動を継続して行っています。私たちはクリスチャンの団体で、職員は全員クリスチャンです。聖書をもとに、この活動を続けています。その中で、私たちは飢餓を、「生き続けることが困難なほどに肉体的、社会的、精神的、霊的に貧しいこと(心と体の飢餓)」だと見ています。そして肉体的にも、社会的にも、精神的にも、霊的にも(全人的に)、貧しさの中から回復されることが本当の意味での飢餓撲滅に繋がっていくことを信じて活動をしています。

 

 聖書から言うと、飢餓の原因は人の罪にあります(創世記11,2930,31719)。そして神様は、貧しさを抱えている者がこの世からなくならないことを良しとはされていません。(申15711、マタイ253140、箴3119、Ⅰヨハネ31620)。神様は、私たちが人間の飢餓にかかわることを望んでおられます。

 

私たちは、途上国で飢餓と戦っている人々に、主の御心に生きてほしいと思っています。良き隣人となって、共に生きる、その場その場にあって神の国の前進を目指しています。このためには宣教の働きが必要です。神様の愛の中、御心の中で、そして人が創造された目的の中で生きる豊かさを知らなければ、本当の意味で貧しさから抜け出すことはできないと、私たちは考えています。そして宣教の主体は、キリストのからだである教会です。

 

ハンガーゼロは、日本にある教会に仕えています。もしよろしければ、那珂湊キリスト教会の宣教のお働きにも、手足となって仕えさせていただきたいと思います。そしてどうぞ、世界にある様々な飢餓や貧困から人々が解放され、主の御手の中で本当の豊かさを知り、また愛されていることを実感して生き続けることができますように、皆さんにお祈りいただけたらと思います。(ハンガーゼロ 鶴若仰太兄)

 

☆本日はハンガーゼロ (https://www.jifh.org/about/)の鶴若仰太兄がお越し下さり、証と活動の紹介をして下さいました。