牢屋の中の賛美 使徒の働き16章16~26節

【新改訳2017】
使
16:16 さて、祈り場に行く途中のことであった。私たちは占いの霊につかれた若い女奴隷に出会った。この女は占いをして、主人たちに多くの利益を得させていた。
16:17 彼女はパウロや私たちの後について来て、「この人たちは、いと高き神のしもべたちで、救いの道をあなたがたに宣べ伝えています」と叫び続けた。
16:18 何日もこんなことをするので、困り果てたパウロは、振り向いてその霊に、「イエス・キリストの名によっておまえに命じる。この女から出て行け」と言った。すると、ただちに霊は出て行った。
16:19 彼女の主人たちは、金儲けする望みがなくなったのを見て、パウロとシラスを捕らえ、広場の役人たちのところに引き立てて行った。
16:20 そして、二人を長官たちの前に引き出して言った。「この者たちはユダヤ人で、私たちの町をかき乱し、
16:21 ローマ人である私たちが、受け入れることも行うことも許されていない風習を宣伝しております。」
16:22 群衆も二人に反対して立ったので、長官たちは、彼らの衣をはぎ取ってむちで打つように命じた。
16:23 そして何度もむちで打たせてから二人を牢に入れ、看守に厳重に見張るように命じた。
16:24 この命令を受けた看守は、二人を奥の牢に入れ、足には木の足かせをはめた。
16:25 真夜中ごろ、パウロとシラスは祈りつつ、神を賛美する歌を歌っていた。ほかの囚人たちはそれに聞き入っていた。
16:26 すると突然、大きな地震が起こり、牢獄の土台が揺れ動き、たちまち扉が全部開いて、すべての囚人の鎖が外れてしまった。

 

 「100de名著」という番組で、6月は「アルプスの少女ハイジ」が紹介されています。

 

解説者は松永さんというクリスチャンの方で、ハイジのキリスト教的特色をとてもわかりやすく説明して下さいました。例えば、ハイジはおじいさんと仲良く暮らしていたアルルの山から、おばさんにフランクフルトにつれていかれ、彼女は故郷に戻りたくてよく祈りました。しかし願いがなかなかかなわず、遂に祈ることをやめてしまいました。そんな時、友人のおばあさんからアドバイスをもらいました。「神様は、わたしたちみんなのお父様で、何が私たちのためになるのか、ちゃんとご存知なのよ。お願いしたって、それが私たちのためにならないことなら、かなえてはくださらないの。でもだからといって、すぐ逃げ出したり神様に愛想をつかしたりせず、心からお祈りすることを続けていれば、きっともっといいことを授けて下さるのよ」。このおばあさんの言葉をきっかけに、ハイジはまた祈り始め、フランクフルトで文字を覚え、神様への信仰も強められました。そして故郷に戻り、フランクフルトで学んだことを故郷に還元したのです。番組の中で松永さんは、フランクフルトの試練はハイジにとって必要なものだったと語られました。神様は最も良いタイミングでハイジの祈りをかなえたのです。

 

 さて、パウロは祈り場に行く途中、占いの霊につかれた女奴隷に出会いました。悪霊、悪魔は聖書の中だけではなく、現代にも存在しています。彼らの最大の目的は、人を神様から離させることです。ピリピの町では、悪魔は占いを用いて神と人とを離れさせようとしていました。私たちの未来を握っているのは、今週のラッキーアイテムでも、高いネックレスでも、水晶でもありません。神様に向けるべき信仰が物や人の言葉に変わるのなら、私たちは悪魔の策略に陥っているのです。ハイジのように、祈りを通して待ち望む信仰が求められていると言えるでしょう。

 

次に17節を見ると、悪霊なのに一つも間違ったことを言っていません。しかし、これが策略なのです。占いの霊につかれた女性が神様をほめたたえると、パウロの宣べ伝える神様と何か関係があると誤解する人が出てきます。これにより、パウロの伝道を妨害できるのです。

 

悪霊はパウロに追い出されましたが、次の計画を進めました(19)。主人たちは悪霊にはつかれていないのですが、無意識に悪魔の支配下にある者たちとして登場しています。そしてパウロたちは鞭打たれ、牢に入れられました。悪魔は、パウロが気落ちして神と人への怒りに満たされるのを狙っていました。もし私がパウロなら、相当気落ちすると思います。ピリピへ来てまだ数日なのに、投獄され命の危険にさらされるのですから。しかし、パウロとシラスは牢の中で祈り、神を賛美したのです(26)。

 

もし皆さんが思い通りにいかないこととか、悲しいことがある時、心から神様に祈り賛美するなら、それは悪魔が最も恐れている状況と言えるでしょう。私たちは、悪魔との霊的な戦いを戦っています。悪魔は私たちを、様々な手口を使って、神と人を陥れる生き方へ誘ってきます。しかしそのような誘惑を、イエスにある愛とゆるしで対抗していくのであれば、私たちはこの世において圧倒的な勝利者だと聖書に書かれています(エペソ61113)。

 

悪魔の緻密な計画によってパウロは投獄されましたが、神様はそれより更に大きな計画を持っておられました(26)。悪魔は私たちと同じ、被造物です。創造者である神様の前に、悪魔はひれ伏すことしかできません。ですから、この神様に信頼していれば私たちは大丈夫です。私たちは悪魔の誘惑にさらされている時こそ、全能なる神様に祈り、賛美をささげる者でありたいと思います。

 

天の父なる神様、みことばをありがとうございます。悪魔は緻密な計画をもって、私たちを自分たちの方へ引きずり込もうとしています。しかし、偉大な神様が私たちの神様です。その神様への全き信頼をもって、私たちが礼拝をささげ、祈り、賛美をすることができるように、その信仰を私たちに与えて下さい。そして、イエス・キリストが十字架にかかり、圧倒的な勝利者になって下さったのですから、私たちはイエス様を模範としつつ、この人生を歩み切ることができるように助けて下さい。(2019623日礼拝 武田遣嗣牧師)