第95回童謡・唱歌・讃美歌を歌う会

「海」、「夏は来ぬ」、「夏の思い出」、「みかんの花咲く丘」、「いつくしみふかき」を歌いました。参加者は4名でした。

 

 

レンブラントの3枚の絵から

 

 これは、レンブラントの「酒場の放蕩息子」という絵です。放蕩息子の話は聖書にあるのですが、父親から財産を受け継いだ息子が家を飛び出して、放蕩の限りを尽くすというストーリーです。この絵は、その一場面を描いています。この絵を描いた時、レンブラントは人生の絶頂期にいました。ミレーやゴッホは没後に絵が認められたのですが、レンブラントは19歳の時すでに自分の工房を持ち、彼の絵は次々と売れていきました。そして裕福な貴族の女性、サスキアと結婚、妻の実家からも多くの金銭を得て、彼は若くして贅沢三昧な日々を送っていました。

 

 次は「夜警」という絵です。これは集団肖像画として描かれました。普通、肖像画といえば一枚の絵に描かれるのは一人の人物ですが、当時のオランダではこのように集団で肖像画を描いてもらうこともあったそうです。肖像画を描いてもらった人が、割勘で絵を買うのです。しかしこの絵を見ると、目立っているのは二人だけです。レンブラントは、この絵に物語性を持たせたかったので、この二人を目立たせたかったようです。当然、他の人から不満が出てきて、次第に彼の絵は売れなくなってしまいました。しかも、この絵を描いた年に妻を亡くし、彼の人生は転落の一途を辿るのでした。

 

 三枚目の絵は「放蕩息子の帰郷」という絵で、彼の晩年の作品です。聖書では、お金を使い切った息子が最後に父親のもとに帰ってきます。そして父親はこの息子をやさしく抱き、口づけして家に迎え入れたのでした。当時レンブラントは貧しい生活をしていましたが、ヘンドリッキエという女性と共に過ごすようになりました。この女性は敬虔なクリスチャンで、レンブラントも信仰をもつようになりました。聖書の放蕩息子の話には女性は登場しないのですが、この絵の背景には二人の女性が描かれています。彼女たちは、ヘンドリッキエとサスキアだろうと言われています。そして父親のもとに帰ってきた息子はレンブラント本人だと言われ、彼は神様との親しい関係を手に入れたのでした。この絵は前の二枚の絵より、技術的に劣ると評価されていますが、この絵は、父なる神様の愛を理解したレンブラントにしか描けない作品になっています。

 

 やさしくレンブラントを迎える父親のように、私たちの神様も愛なる神様です。

 

 天の父なる神様、ここにいる一人一人に、神様が愛を下さいますようにお願いいたします。(2019820日 武田遣嗣牧師)