【新改訳改訂第３版】
Ⅰサム
16:14 【主】の霊はサウルを離れ、【主】からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。
16:15 そこでサウルの家来たちは彼に言った。「ご覧ください。わざわいをもたらす、神の霊があなたをおびえさせているのです。
16:16 わが君。どうか御前にはべるこの家来どもに命じて、じょうずに立琴をひく者を捜させてください。わざわいをもたらす、神の霊があなたに臨むとき、その者が琴をひけば、あなたは良くなられるでしょう。」
16:17 そこでサウルは家来たちに言った。「どうか、私のためにじょうずなひき手を見つけて、私のところに連れて来てくれ。」
16:18 すると、若者のひとりが答えて言った。「おります。私はベツレヘム人エッサイの息子を見たことがあります。琴がじょうずで勇士であり、戦士です。ことばには分別があり、体格も良い人です。【主】がこの人とともにおられます。」
16:19 そこでサウルは使いをエッサイのところに遣わし、「羊の番をしているあなたの子ダビデを私のところによこしてください」と言わせた。
16:20 それでエッサイは、ろば一頭分のパンと、ぶどう酒の皮袋一つ、子やぎ一匹を取り、息子ダビデに託して、これをサウルに送った。
16:21 ダビデはサウルのもとに来て、彼に仕えた。サウルは彼を非常に愛し、ダビデはサウルの道具持ちとなった。
16:22 サウルはエッサイのところに人をやり、「どうか、ダビデを私に仕えさせてください。私の気に入ったから」と言わせた。
16:23 神の霊がサウルに臨むたびに、ダビデは立琴を手に取って、ひき、サウルは元気を回復して、良くなり、わざわいの霊は彼から離れた。
今日は、私たちの内に住む聖霊が私たちに与えて下さるものを三つ、お話します。
一つ目は、神への信仰です。聖霊のことを新約聖書では聖霊と呼びますが、旧約聖書では神の霊、主の霊と呼ばれることが多いです。サウルは力溢れる王でしたが、次第に高慢になり、罪を犯しても悔い改めないで神様から離れていきました。そして遂に主の霊（聖霊）が離れ去ったと書いてあります（14）。代わりに災いの霊がついて、サウルは震えがとまらなくなってしまいました。注目したいのは、サウルがこの災いの霊をどう解決したのかということです（16～17）。サウルも家来も、災いの霊が神様から送られてきたことを知っていました。とするなら、サウルは神様に災いの霊を取り去って下さいと祈るべきでした。しかし彼は神様ではなく、竪琴の音色を信じたのです。聖霊が離れ去った後、サウルは神様を信じられなくなってしまいました。なぜなら、聖霊だけが神様の信仰を与えることができるからです。聖霊は、神様を照らすスポットライトのような働きをされます。私たちは罪人ですから、神様のことが時々わからなくなってしまいます。信仰者であっても神様を見失うことがあります。しかし聖霊は、神様を照らして下さいます。そして私たちがはっきりと神様を見ることができるよう、導いて下さいます。私たちは自分の力で神様を見出すことはできません。しかし聖霊が私たちに臨む時、私たちは神様を信じることができるのです。
二つ目は、使命を達成する力です（18）。家来の言う「勇士、戦士、体格の良い」は誇張かもしれません。ダビデは戦争に出たことがない羊飼いでしたし、鎧を付けて自由に歩けないほどだったからです。しかし17章では戦いの猛者ゴリアテに勝っています。それは、神の霊がダビデに注がれたからです（16：13）。また詩篇51：11では、聖霊を私から取り去らないで下さいと願っています。私たちは、自分の内に働いておられる聖霊の力のよって奉仕や仕事をしようとしているでしょうか。聖霊は、私たちの弱さを強さに変えて下さいます。田舎の羊飼いを一国の王に変えるほどの存在なのです。また新約聖書には、イエス様が約束された聖霊が弟子たちに下り、ペテロの説教を通して三千人ほどの人がイエス様を信じるようになったことが記されています（使徒1～3：41）。
三つめは、御霊の実です（21～22）。「道具持ち」とは、王の生活のあらゆる面で王と共に過ごす人のことです。例えば、サウル王の息子ヨナタンにも道具持ちがいました（14：1）。とても名誉のある仕事ですから、田舎の羊飼いダビデがその役職に就くことはできません。どれほどサウルがダビデを気に入っていたかがわかります。22節では、サウルは親しみを込めてダビデ、と名で呼んでいます。しかし、サウルにとってダビデが自分の地位を脅かす存在になった時、ダビデを見下して「エッサイの子」と呼ぶようになります。つまり、サウルが愛していたのはダビデではなく、彼の地位だったのです。サウルは結局、真実の愛を一つも結ぶことができないまま死にました。聖霊を受けた私たちが大切なのは、御霊の実を結ぶことです。パウロは、聖霊が与えられた結果（聖霊の実）とは、私たちの内側に良い性質が形成されていくことだと言いました（ガラテヤ5：22～23）。このリストの中で、自分には足りないと思われたものはないでしょうか。サウル王のように、地位や名誉に目がいってしまって、内側は欠けだらけにならないように、御霊の実を祈り求め、育てていきたいと思います。
天の父なる神様、今日は聖霊なる神様が私たちの内に住んで下さっているという幸いを聞くことができました。私たちの生きている現実には、神などいないと思うような悲惨があるかもしれません。しかし今週も聖霊は私たちの内にいて下さるのですから、この世の調子に合わせるのではなく、口汚い言葉や行いを避けて、御霊の実を結んでいくことができますよう、ここにいる一人一人を守って下さい。ここにいる一人一人が聖霊が共におられることを知り、実感することができるように助けて下さい。（2021年6月13日礼拝 武田遣嗣牧師）
コメントをお書きください